【書評】『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』 ビル・パーキンス (著), 児島 修 (翻訳)

書評

「目指せ”アリギリス”」

帯の「ゼロで死ね。」というフレーズに惹かれて読んでみました。

有名なイソップ童話の「アリとキリギリス」で、
確かにキリギリスは遊びすぎたとして、アリはいったいいつ遊ぶのか?
という例え話で始まります。

つまり、極端に散財するのでもなく、お金を貯めこみ過ぎるのでもなく、
その中間を目指すんだ、とこの本は力強く訴えています。

世の中には、お金を貯めたはいいけど
うまく使えないまま死んでいく人が多すぎる、と。

とくに、若いうちに経験にお金を使うことをひたすら勧めていて、
これには自分も思い当たる節がありました。

新型コロナウイルスが流行する本当に直前
2019年12月ごろ、
急に「海外旅行に行きたい!」と思い立って
立て続けに台湾、ドイツ、フランス旅行を計画して実行しました。
全然お金もなかったのに。
(離婚したばかりなのもあって、それこそ旅行にいったら貯金がゼロになるくらいでした)

それはそれは素晴らしい旅行で、大満足に帰国したのですが
2カ月もたたないうちに海外渡航は禁止され、
今や行きたくてもいけない状況になっています。

あの時、
「もう少しお金がたまってからにしよう」
とか、先延ばしにしなくて本当によかった。

人生でやりたいことが見つかった時
お金と健康と時間がすべてそろっていることは稀で、
特に健康が年とともに低下していくことはほぼ確定事項です。

例えば「お金がたまってから」と先延ばしにし続けた結果、
70歳や80歳でようやく海外旅行ができたとして、
先述の旅行よりも楽しめるかどうかは自信が無いです。
(もちろん年齢に応じた楽しみ方はあると思いますが)

計画的にお金を貯めつつ、
死ぬときには貯金がゼロになっているくらい
計画的に「価値ある経験」に使っていく。
(子供や大切な人にお金を分けるのも生前にする)

どんなお金関係の本を読んでも、大抵
「お金は貯めるよりも使う方が難しい」
と書かれていますが、この本はその部分を全力プッシュした内容でした。

なぜ難しいのかというと、お金は使う時こそ
自分の価値観が浮き彫りになるからだと思います。

改めて
「人生の中で自分が何を望んでいるか」
を考えるきっかけになった本でした。

…ただまぁ、
筆者は「お金が無駄になること」が
とにかくめっちゃ嫌いなんだなぁ、と感じましたが
それこそ価値観というか、
「たくさん貯めたぜ!」
と喜んで死ぬ人がいても別にいいかな、と
個人的には思いました。

(画像はAmazon.comより)

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